「ごとりん ごとりん」
これは、もみを玄米にするときに臼をひきながら唄われたしごと唄のなかの一節。とても可愛らしく、やさしくてユーモラスですね。
海には漁師さんが大漁を祝う唄、山には木挽さんが木を伐り出す唄、田んぼには田植えや草とりの唄など、日本には沢山のしごと唄がありました。唄うことで単調なくり返し作業を確実にこなし、時に作業時間を計るためにも使われていたその唄の歌詞には、厳しい作業を嘆くものもあれば、自然を楽しんだり、愛する人を思ったり、言葉あそびが織り込まれたり、今を生きるわたしたちと同じ、昔の人たちの生き生きとした姿を感じることができます。
私は和太鼓のルーツを求めて郷土芸能を調べているなかで「しごと唄」に出会いました。これらを昔、1つ1つ記録された先人の貴重な仕事を知り、資料を集め、実際に自分でも、地域の皆さんにお話を聴くなかで出会った唄をモチーフとして、和太鼓や篠笛などを加えた新たな作品としてよみがえらせるのが私のライフワークです。
その制作の過程のなかで、唄と同時にたいせつなのが、作業を体験すること。
唄が唄われていた時代の「しごとのリズム」を体感できる本ワークショップは、とても貴重な体験になると私自身がとても楽しみにしています。広々とした空と豊かな緑に囲まれた古民家と田んぼを舞台に、お日様のもとで土をさわり、一緒に唄いながら作業をしたり、その唄に素朴な楽器を加えて芸能を創りあげたり、自然の恵みを頂いたり、村の祭りを楽しんだり、参加者の皆さんと一緒に、現代から過去へ時間旅行をしながら、日本の文化の根っこにあるとも言える「田んぼ」をじっくり味わえればと思っています。
さとおと太鼓教室代表 太鼓唄 七海
●太鼓唄 七海 プロフィール
兵庫県出身。
10代で日本各地を行脚し長野県・御諏訪太鼓に内弟子として入門。
故・小口大八氏に組太鼓を、故・山本幹夫氏(日本太鼓塾)に古式打法を学ぶ。
独立後、和楽器、中国楽器の女性演奏家らと東京・神奈川を拠点に音楽活動を行いながら、和太鼓の専門家として専門誌や教科書ワークブックなどに執筆。民謡太鼓を木津茂理氏に師事。2010年、文化庁「子どものための優れた舞台芸術体験事業」講師に選ばれ兵庫県に派遣されたのをきっかけに郷里に戻り、「さとおと太鼓教室・関西」を立ち上げ、郷土芸能を継承するために高校と地域と三者協同で作り上げる芸能「三木武陣太鼓」の作曲・指導・プロデュース、地域の田植え唄、はたおり唄などの仕事唄を掘り起こして太鼓曲に編曲する「仕事唄シリーズ」などを制作。また伝統的な和太鼓に、アフリカの楽器やピアノ、ギター等、様々な要素を加えて編成した音楽バンド「VONBON」を立ち上げ、2013年、明石、大阪、東京、三木の4ヵ所でツアーを行い、東京に地元野菜を機材車で持ち込む「産地直送ライブ」を企画するなど、ふるさとの音に光を当て、地域の人々と共に発信して行く活動を続けている。
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