2017-04-27

馬耕ワークショップ開催しました!(報告)

冬の寒さがゆるみ始める頃、農村の空気は動き出します。

田んぼを耕すトラクターのエンジン音が聞こえてくるのもこの時期です。

私も、物心ついたときからこの音が当たり前になっていたけれど、今からほんの50-60年ほど前までは、田んぼの耕耘は、馬や牛の力に頼っていました。

私の生まれ育った兵庫県内の家にも、少し前まで、牛小屋の跡がありました。

田んぼのための労働力であると同時に、
大切な家族でもある牛の世話は、子どもたちの役目。
私の父も母も、子ども時代の牛の思い出を、ときどき嬉しそうに話します。
決して、ペットではないから、つらい別れもあったようですが、それでも、思い出はキラキラと輝いているようでした。

昔の農村ではごく当たり前だった、牛や馬と共に生き、共にはたらく時間。

その場の空気感や音や気持ちを、みんなで体験してみたくって、
このたび、“馬耕”を体験する機会をつくりました!

今回、お越しいただいたのは、
NPO法人都留環境フォーラムの岩田和明さんと、馬のコータロー君。

“馬耕キャラバン”と銘打って、馬耕の文化を伝えるべく、全国をまわっておられます。

そんなお二人(一人と一頭)をお招きして、
春うららかな日に、馬と共に田んぼを耕す“馬耕ワークショップ”を開催しました。

うちの田んぼ(通称:のらのら田んぼ)は、高台にあるので、すこし歩きます。

目指すは、丘の上の、馬運車!

最初は、おっかなびっくりでも、
こどももおとなも、すぐにコータローに夢中でベタベタ。

後ろ足の蹄を見ようとする強者も。

コータローのおおらかさには感服です。


でも。
今日は、馬とふれあって終わり、の日ではありません。
馬と共に、田んぼを耕す、という本来の目的を忘れてはなりませんよー。

コータローと共にはたらくために、
コミュニケーションの取り方を学んでいきます。

細いロープを介した会話の練習。
まずは、人同士で練習するところから。

ロープを引っ張る方向、力加減、ゆるめるタイミング、
これも、すぐにできそうなのに、意外と難しい。

そして、待ちに待った、コータローと歩く時間!

コータローと通じた!と実感したとき、みんなの顔がパッと明るくなりました。

人同士だと言葉があって、つい頭であれこれ考えてしまうけれど、
馬も含めて異なる動物たちは、
私たちの頭でっかちな日常を、軽々と超えて、異なる次元の関係に連れてってくれる。
そんな関係づくりが、なんだかとても嬉しく感じる。

 おひるごはんは、昨年のらのら田んぼで収穫した玄米のおにぎり。
それから、昨日獲れたばかりの柔らか小猪肉の汁物。
すっごくおいしかったー!
(猪汁、写真撮る前にたいらげてしまいました。ゴメンナサイ。)

腹ごしらえした後は、お待ちかね、馬耕の時間です。

 馬耕に必要だと言われる「馬・土・犂」3つの技術。

馬を知り、土を知り、犁(農具)を知る。

棃にこめられた工夫は素晴らしく、
金属部分の形状もさることながら、木製の部分も、それぞれの役割によって、異なる材を使い分けて作られているそう。

昔の人すごい!
私たちは、効率を求めるあまり、
大切な知恵を身につける機会を手放したのかもしれません。

この周辺の土地の土は、かなりの粘土質で重たい。

その土の性質から、今回は、浅めに耕すことを目標にスタート。

 まずは、人で引っ張ってみる・・・

男2人がかりでも、、なかなか土を起こせません。

そして、コータロー登場!
息をあわせて、コータローの歩みについていきます。

すごい!つよい!はやい!

親子でも。

女性でも大丈夫!

後ろで犂を持つ人の役割は、まっすぐに耕すようにバランスをとることなので、力を入れなくてもいいのです。

力仕事は、馬コータローがどーんと引き受けてくれます。

ひたすら、コータローと息を合わせ、歩みについていきます。

まっすぐ、同じ深さで耕すのは、決して簡単ではないけれども・・・。

1時間ほどみんなでがんばって、だいぶ耕せました。

はい。まっすぐでもなく、深さもマチマチなのは、ご愛嬌です。

1日を馬と共に田んぼで過ごして、
馬飼いたい!気持ちがふくらんでしまった人たちもたくさんいたようです。
かくいう私も。。

馬がいるだけで、ふだんの田んぼの風景が、もっと特別なものにみえてきます。

馬の息遣い、土が起こされる音、風の感触、鳥の声、周りであそぶ子どもたちの声も。

これが、馬や牛と共に生きていた、昔の人々の日常だったのかもしれません。

昔に戻るほうがいい、とは一概には言えないけれど、
取り戻したいと思えば、それもできなくないかもね、と、
今回の体験をつうじて、前向きな気持ちをいただけたように感じています。

私たちは、これからどんな暮らしを選ぶんでしょうね。
そのひとつに「馬と生きる」という可能性があることも、忘れないでいたいです。

・・・


ワークショップ終了後、
居残り組のみなさんが、かなり耕してくださいました。
ありがとうございます!
残りは、わたし(ひとりで。馬なしで。)なんとかガンバリマス。

馬耕体験の機会をくださった岩田さん&コータロー、
ご一緒してくださったみなさん、
豊かな時間を共に過ごしていただきありがとうございました!

 

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